oneself 後編

けたたましく鳴り響く、アラームの音。


何時間寝る事が出来たんだろう。


3時半を過ぎた頃に携帯をチェックしてからは、もう時間を気にするのはやめた。


重たい体を起こす。


慌ただしく準備をし、家を出た。


小雨の中、自転車を走らす。


この梅雨が明ける頃、あたしは何をしているんだろう。


ほんの先の未来さえも、分からないなんて…


学校へ着くとすぐに、奈美の姿を探した。


先週は結局、何の連絡もないままで。


気にかけなかった訳じゃない。


ただあたしはあたしで、色々とあったから。


自分の事でいっぱいいっぱいになると、周りの事がおざなりになる、この性格。


ちっとも変わってないや。


見当たらない奈美の姿と、そんな事を考えて、がっくしと肩を落とした。


「未来ちゃ~ん!」


あたしを呼ぶ、明るい声が聞こえる。


駆け寄って来たのは、奈美ではなく翼。


「おはよう」


互いに挨拶を交わしながら、窓際の1番後ろの席に、腰をおろした。