待機用のソファーに座り、一息ついたのも束の間、スタッフがあたしを呼ぶ。


そのスタッフの言葉に、あたしは耳を疑った。


「ミライさん、5番テーブルで場内指名入りました」


聞き覚えのある番号。


慌てて1番奥のテーブルから、1、2、3と、指を差しながら確認する。


聞き間違いじゃないよね?


本当に?


5番テーブル。


そこには、前田さんの姿があった。


「もう行ける?」


「あ、はい」


急かすスタッフに、あたしは重たい腰を上げた。


2度目の場内指名。


嬉しい、嬉しいけど…


何であたしなんだろう?


そうか。


前田さんは友達の手前、あたしを選んだのかも知れない。


それなら、納得がいく。


スタッフに連れられ、5番テーブルに向かう。


「ミライさんです。どうぞごゆっくり」


そんなスタッフの声に、翼と波多野さんは、笑顔で「おかえり〜」と、声を揃わせた。


「ただいま…」


そんな二人に笑みが漏れる。


「ご指名ありがとうございます」


あたしは前田さんの隣に、ゆっくりと腰をおろした。