ヘルプで、しかも20分しか席にはいないのに。


そんなの頂いて良いのだろうか?


戸惑うあたしに、彼は「遠慮すんな」と、笑った。


「えっと…」と、言葉に詰まるあたしに、彼は「お酒は飲めるのか?」と、尋ねた。


「すいません、あまり飲めないんです…」


未だに胃の中には、さきほどのビールが残っている。


「じゃあ、ウーロン茶でええか?」


「あ、はい…」


あたしの返事を聞くなり、スタッフを呼びつける彼。


強引だけど、気さくな人だと思った。


これなら初めてのヘルプも何とかなりそうだと、少しだけホッとした。


すぐさま運ばれてきたウーロン茶で、乾杯。


何を話そうか悩むあたしを察してか、彼は自ら沢山の事を話してくれた。


名前は望月さん、年齢は49歳、結婚していて、子供はあたしと変わらないくらいだそうだ。


ここのお店にはもう5年ほど通っていて、さきほどの彼女が、このお店のナンバー1だという事も教えてくれた。


彼女の名前はヒナタさんといって、もうここ何年も、不動のナンバー1だという。


あんなに美人でスタイルも良くて、それでいて、内面から湧き出るような上品さ。


ナンバー1だという事には、十分納得出来る。


彼は、「だからあいつが俺の席にいる時間なんて、全体の半分もないねんけどな」と、おどけて言った。


それでもここのお店に通うのは、何故なんだろう。


「それやのに何でって顔してるな」


「あ、そんな事は…」


小さくなっていく声。