「未来!」


その時、数メートル先に家が見えてきたのと同時に、聞こえてきた声。


そして、浮かび上がる二人の姿。


「幸子!香!」


あたしは驚きながら、二人に駆け寄った。


幸子は何も言わずに、あたしの頭を撫でてくれた。


香は涙ぐみながら、あたしの手をギュッと握ってくれた。


良く頑張ったね。


まるでそう言ってくれているようだった。


でも…


何で二人がここにいるの?


そんな疑問を胸に、二人に視線を投げかける。


「哲平から全部聞いた」


そう言って、幸子は静かに頷き、香は柔らかく微笑む。


あたしは二人に囲まれながら、一歩を踏み出した。


後に、哲平が二人に連絡をし、「未来を頼む」、そう言っていたと聞かされた。


それを聞いた時、あたしはやっぱり泣いてしまった。