oneself 後編

それから数日は、あたしは学校に専念して、バイトにも哲平のお店にも行かず、平穏な毎日を送っていた。


もしかしたら、あの子は毎日お店に通っているかも知れない。


それ以外の客とも、何かあるかも知れない。


でも、全てを目の当たりにしてしまった時と、想像だけで不安になっている時とだったら。


後者の方がまだ楽だったんじゃないか、そう思うようになった。


知らなくても良い事は、知らないままで。


見なくても良い事は、見ないままで。


お店に通い出した事も。


サイトを見出した事も。


あの日の事も。


もしかしたら、もっともっと昔まで遡って。


あたしがどこかでもっと違う選択をしていれば。


今より幸せな、未来があったかも知れない。


そんな事を考えていた。




そして、心待ちにしていた週末を、明日に控えた時だった。


授業を終え、バイト先に向かう途中に、哲平から1件のメールが入った。


「今日、サキとアフターする。もう絶対、裏切らんから。心配すんな」


心配するな。


そう言われても、湧き上がる不安を抑える事は、簡単ではなくて。


メールを見たその瞬間から、あたしの胸中は、穏やかではなかった。