「早く辞めれるようにする」


二人でお茶をすすりながら、少し落ち着いた頃。


哲平はそう言った。


ホストを始めて9カ月。


いつからか辞める日を口にしなくなった哲平が。


ようやく決意してくれたようだった。


「そっか」


笑顔を返すあたしに、哲平はゆっくりと肩に手を回す。


あたしはそれを素直に受け入れて、哲平の胸に顔を埋める。


「ホンマに好きなんは、お前だけやから…」


そんな哲平の言葉に顔を上げると、やっぱり耳を少し赤くして照れていた。


あたしの思い描いていた未来まで、後もう少しの我慢。


そう、自分に言い聞かせて、あたしは静かに目を閉じた。