現実なんだか夢なんだか分からない、フワフワとした状態のまま、枕元の目ざましが鳴った。


腫れぼったい瞼に溜息をつき、髪の毛をセットし終えると、あたしは普段通りに自宅を出る。


鉛のように重たい体と、それ以上に重たくて、クラクラとする頭で。


哲平は今頃、眠りの中だろうか?


隣では、あの子がスヤスヤと寝息をたてているのだろうか?


そう思うといてもたってもいられず、気付けばあたしは、学校へ向かうはずの電車を降りていた。


そう、ミナミで。


鞄から携帯を取り出し、哲平の番号を呼び出す。


かけるの?


今更?


頭の中で、冷静な自分がそう問いかける。


今から何をするのか。


哲平に打ち明けるのか。


自分でもどうしたかったのか分からない。


それ以上に、あたしは哲平を許すのか、別れるのか。


そんな事でさえ、分からない。


でも。


あたしはゆっくりと発信ボタンを押すと、深呼吸して、受話器を耳にあてた。