今頃、哲平は…


そんな嫌な妄想は、一気に広がっていく。


腕の中にあの子を抱いて、柔かいキスをし、優しく肌をなぞっていく。


そう、あたしにするのと同じように。


何とも言えない不快さを感じたあたしは、そこで大きく頭を振った。


こんな事を考えるくらいなら、何であの時止めなかったの?


追いかけた時。


電話をかけた時。


あたしがそれを見てしまった事を伝えれば、もしかしたら何かが変わったかも知れないのに。


でも、あたしは賭けてみたんだ。


少しの期待に。


僅かな信じる気持ちに。


唇が切れてしまうほど、強く噛み締めた。


裏切られたんだ、あたし。


ようやく理解した。


そして、消えてはくれない嫌な妄想が、頭の中を完全に支配した時。


あたしは布団を深く深くかぶりながら、声を殺しながら泣いた。