薄暗い通路を少し進むと、エレベーターがあった。


それに乗り込むとガタンと音を立てて、上へと上がっていく。


普段百貨店などで乗るエレベーターとは、全く乗り心地が違った。


3階で降りると、


”シュガー ガール”


そう書かれた看板が目に入る。


開けっ放しのドアを進み、待合い室のような所を抜け、もう1枚のドアを翼は勢い良く開けた。


「おはようございま〜す」


入ってすぐ右にはトイレがあり、せっせとトイレ掃除をする男性スタッフは、無表情なまま、軽く頭だけを下げた。


左のガラスのついたてを通り越し、奥へと進む。


大きなシャンデリア。


真っ白なテーブルとソファー。


あたしは初めて見る店内の風景に、息を飲んだ。


カウンターではもう一人の男性スタッフが、ノートに何かを書き込みながら、煙草を吸っていた。


「おはよう、椿ちゃん。あ、面接の子?」


翼とあたしを交互に見る彼。


「うん、店長は〜?」


「もうすぐ来るやろ。座って待ってたら?」