「ほら、最近さ…店にも来てもらってるし。うん、ホンマはそんな風にお前の事さ…」


「う〜ん」と、唸りながら、足元をバタつかせ砂利を鳴らす。


「いや、だからさ…ごめんな。でも、とにかく心配すんなっつうか…」


しどろもどろになっている哲平。


「フフっ」


あたしは思わず噴き出した。


でも同時に、下瞼に溢れるものを、もうこらえ切れないのも分かった。


ツーッと頬に熱いものを感じる。


嬉しくて泣くのは、どれくらいぶりだっけ。


隣で哲平は頭を掻いている。


「あ〜!上手く言えんけど、そういう事!」


そう言って、哲平はピョンと立ち上がると、あたしにおいでと手招きをする。


あたしは右手で涙を拭いながら、ゆっくりと立ち上がり、両手を広げる哲平の胸に顔をうずめた。


そんなあたしの肩をきつく抱き寄せ、もう片方の手であたしの髪を優しく撫でる。


哲平の胸の中は、すごく温かかった。


そして、おもむろに顔を上げたあたしに、哲平はそっと唇を重ねる。


温かくて、熱くて、甘くて。


抑えようとした涙は、再びあたしの頬を伝った。