会場は、通っていた高校の近くにあった。


懐かしいな。


あの頃、毎日この駅で降りて、毎日この道を歩いていた。


その時、キョロキョロと辺りを見渡しながら歩いていると、頭をコツンとこづかれた。


「おーっす!」


慌てて後ろを振り返ると、そこには笑顔の木部ちゃんの姿があった。


「久し振り〜!」


二人で笑い合い、会場へと足を進める。


「誰が来るんかな。楽しみやわ」


持っている手さげ鞄をブンブンと振り回し、木部ちゃんは明るい声を上げた。


楽しみ…か。


確かに、久しぶりにみんなに会える事はあたしだって楽しみだ。


でも、哲平は周りから仕事の事を聞かれたら、何て答えるんだろう。


もしかしたら、ホストをしている事を既に知っている人もいるかも知れない。


みんなは何て思うだろう。


そして、もし誰かが。


未来はそれで良いの?


そう聞いてきたら。


あたしは何て答えれば良いのだろう。