純粋だったあの頃。


好きな人が異性と話しているだけで、不安になったり、焼きもちを焼いた。


でも、今のあたし達は”仕事”だから、それを我慢しなきゃいけないようになった。


少なくとも、あたしにとっては我慢で、割り切ってなんかなかった。


あたしがキャバクラで働くと打ち明けた時、必死で反対した哲平。


今は平気になったの?


それどころか、あたしがそれ以上の仕事を選んでも、仕方ないと納得するの?


何となく、哲平の愛情が分からなくなった。


もしかしたら、もう冷めてしまったのかも知れない。


あたしはもう、客の一人に過ぎないのかも知れない。


未だにあたしと付き合っているのは、何故だろう。


あんな綺麗な子に思われて、少しも気にならないのだろうか。


もしかしたら…


本彼はあの子で、色彼はあたしかも知れない。


そう思うと何だかおかしくなって、あたしはフフっと鼻で笑った。