結局3回目にして哲平は、「完璧」と、満足したようだった。


「未来も何か歌えば?」


そう言われ、その時開いていたページで目についた曲を、適当に入れた。


何度か歌った事のある曲なのに。


どれだけ歌詞を見てなかったんだろう。


それも、別れの曲だった。


それからは、明るいアップテンポの曲を選んだ。


どんな曲を歌ったって、あたし達の仲がそれに左右される事なんてないのに。


何だか、悲しくて切ない曲は、今は嫌だったんだ。


哲平は、お得意の曲を他にも数曲歌った。


死ぬまで愛し続ける、だとか。


もうお前を離さない、だとか。


そんな歌詞を聞いて、客はますます哲平を好きになるんだろうな。


そう思うと、ますます気分は沈んでいった。


あたしは哲平の本彼。


それは信じてる。


でも、あたしを裏切らないでね?


他の客に、色営業をするのは構わない。


仕事と言われれば、少しくらいは許すつもりだし。


でもあたし以外の女と、体の関係を持ってしまったら。


あたしはそれは、絶対に許せないと思うから。