夏休みも残すところ後1日となった。
その日、あたしはラストまで働いて、いつものように翼と居酒屋で過ごした後、哲平のお店へと向かった。
昨晩ハル君と喧嘩をした翼も一緒だった。
月末の土曜日という事もあり、こんな時間でもミナミには人が溢れている。
店前で騒いでいる若い集団。
路上に座り込む酔っ払ったサラリーマン。
携帯を片手に急ぎ足のキャバ嬢。
通り過ぎていく人達を眺めていると、隣で翼が「あっ…」と、小さな声を上げた。
「どうしたん?」
その場に立ち止まる翼に、首をかしげる。
翼は数メートル先を指さして、低い声で言った。
「あれ、ハル」
その方向に目をやると、腕を絡ませて歩く、スーツ姿の男と白いワンピースを着た女の姿があった。
仕事とは言え、好きな人が自分以外の誰かと腕を組む光景なんて見たくない。
翼はしばらくそれを黙って見つめていた。
彼らの姿が見えなくなり、翼は「ごめん」と呟くと、ゆっくりと歩き出した。
「あの子がハルの本彼って噂なんだよね」
あたしの方は向かずに、前を向いたまま、翼はそう言った。
「しかも一緒に住んでるらしい」
あくまで噂。
でも、何て言ったらいいのか分からなかった。
黙っているあたしに、翼はそれ以上何も言わなかった。
その日、あたしはラストまで働いて、いつものように翼と居酒屋で過ごした後、哲平のお店へと向かった。
昨晩ハル君と喧嘩をした翼も一緒だった。
月末の土曜日という事もあり、こんな時間でもミナミには人が溢れている。
店前で騒いでいる若い集団。
路上に座り込む酔っ払ったサラリーマン。
携帯を片手に急ぎ足のキャバ嬢。
通り過ぎていく人達を眺めていると、隣で翼が「あっ…」と、小さな声を上げた。
「どうしたん?」
その場に立ち止まる翼に、首をかしげる。
翼は数メートル先を指さして、低い声で言った。
「あれ、ハル」
その方向に目をやると、腕を絡ませて歩く、スーツ姿の男と白いワンピースを着た女の姿があった。
仕事とは言え、好きな人が自分以外の誰かと腕を組む光景なんて見たくない。
翼はしばらくそれを黙って見つめていた。
彼らの姿が見えなくなり、翼は「ごめん」と呟くと、ゆっくりと歩き出した。
「あの子がハルの本彼って噂なんだよね」
あたしの方は向かずに、前を向いたまま、翼はそう言った。
「しかも一緒に住んでるらしい」
あくまで噂。
でも、何て言ったらいいのか分からなかった。
黙っているあたしに、翼はそれ以上何も言わなかった。



