結局ミナミまでの数分間、あたしは彼女と過ごした。
…とは言っても、一方的に彼女が喋っているのを、あたしはただ聞いていただけで。
元彼は浮気ばっかりだっただの、今彼はすごく優しいだのと話す彼女の相手は、どうやらホストのようだった。
何となく、彼女に前田さんと同じようなものを感じた。
「今日も頑張って稼がなきゃね」
ミナミに到着し、肩を並べて歩いていると、ふいに彼女は言った。
何か答えようとして、彼女の方を向いたのと、同時くらいだった。
「てか、稼がないとやばいんだ」
あたしの方を見向きもせずに、真っ直ぐと前を見つめながら…
彼女はひとり言のように、そう呟いた。
あたしは何も言えず、前に視線を戻した。
間もなくして、あたし達は「じゃあね」と言い合って別れた。
彼女には彼女なりの、何か理由があるのかも知れない。
客の場内指名と引き換えに、自分の体を売る理由が。
とてもじゃないけれど、毎日のようにお店に通っては、高額のお金を使っている彼女が、ホストの彼氏と付き合っているとは思えなかった。
きっと、彼女は色をかけられて、騙されてるんだ。
詳しくは知らないけれど、そんな気がした。
何だか、ひどく切なかった。
…とは言っても、一方的に彼女が喋っているのを、あたしはただ聞いていただけで。
元彼は浮気ばっかりだっただの、今彼はすごく優しいだのと話す彼女の相手は、どうやらホストのようだった。
何となく、彼女に前田さんと同じようなものを感じた。
「今日も頑張って稼がなきゃね」
ミナミに到着し、肩を並べて歩いていると、ふいに彼女は言った。
何か答えようとして、彼女の方を向いたのと、同時くらいだった。
「てか、稼がないとやばいんだ」
あたしの方を見向きもせずに、真っ直ぐと前を見つめながら…
彼女はひとり言のように、そう呟いた。
あたしは何も言えず、前に視線を戻した。
間もなくして、あたし達は「じゃあね」と言い合って別れた。
彼女には彼女なりの、何か理由があるのかも知れない。
客の場内指名と引き換えに、自分の体を売る理由が。
とてもじゃないけれど、毎日のようにお店に通っては、高額のお金を使っている彼女が、ホストの彼氏と付き合っているとは思えなかった。
きっと、彼女は色をかけられて、騙されてるんだ。
詳しくは知らないけれど、そんな気がした。
何だか、ひどく切なかった。



