あれから1カ月が過ぎた。


梅雨もすっかり明け、ジリジリと照りつける太陽。


夏はもうすぐそこに来ていた。


あたしは今もキャバクラで働いている。


何で?


哲平もホストを続けているから。


それが何よりの理由な気がする。


両親には、学校の近くの居酒屋で、友達と一緒に働くと伝えた。


「頑張るんやで」


そう言われただけで、最近の行動については何も言われなかった。


こんなあたしでも、信じてくれてるんだと思うと、胸が痛んだ。


幸子と香にも打ち明けた。


「え〜、いいな〜!」と、羨ましがった香。


「ふ〜ん」と、興味なさそうだった幸子。


でも反対もされず、打ち明けた事によって、あたしの気持ちは軽くなった。


あれから数日後、奈美も学校に姿を現した。


「頑張って卒業するわ」


ガッツポーズでそう言った奈美は、あの日の香に似ていて。


まだ完璧に先輩の事を忘れられた訳じゃないだろうけど。


前を向いて歩き出したんだと思った。


もうすぐ、長い長い夏休みが始まる。