前田さんに色をかけろと言っていた翼。


色かと心配しながらも、ホストに通う女の子。


そういう駆け引きをしながら、客の指名を取っていくものなのだろうか。


あたしは喋り続ける翼の話を、時折相槌を打ちながら、黙って聞いていた。


「未来ちゃんさ、仕事は続けるの?」


届いたばっかりの出し巻き玉子に、箸を伸ばす翼。


「う~ん…」


もし続けていくならば、あたしは変わらなければならない。


営業電話やメールをして、指名も取らなきゃいけない。


あたしには、まだまだ欲しい物も沢山あって。


そして、もっともっと綺麗になりたい自分がいる。


でも、それは何の為に…?


「とりあえず、明日は出勤するわ」


そう答えると、翼は、「まずは前田さんに連絡しなきゃね」、と笑った。