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「え!?白金くんにキスした!?」






華の大きな声が教室に響き渡る。

   






「華っ!しーーっ!!!」










私は人差し指を顔の前に出しながら小声で慌てて華にそう話した。


クラスメイトの視線が自分たちに集まっているのを背中に刺さる視線の痛さで感じる。








「球技大会の時、あの女のせいでみあが倒れてその時に白金くんは………」







さっきの大きな声とは違って静かにそう話す華を
人差し指を下ろしながら見つめると

しかめっ面のような顔をしながらあたしを見ていた。





………うん。分かってるよ。


白金の近くに他の女の子がいること。



あたしは険しい表情の華に向かって口を開く。








「あたしが名前を呼ぶだけで、姿を見るだけで、あんなに拒否されてたのに

昨日は直接触れても嫌がられなかったの……」







私がそう話すと華の手がピクリと動いた。









「っ……そんなの…都合良すぎない?

みあをどれだけ傷付けたと思って…






「うん……だけど」






華の言葉を遮って私は言葉を被せる。


華………聞いてほしいの。








「どれだけ傷付いても、どれだけ辛くても

私が白金じゃないとダメなんだ……」







「………みあ……」







「昨日の事も嘘みたいで、

また白金に触れられたなんて夢みたいで、あたしっ……」









華に思いを伝えている途中なのにあたしの瞳からは涙が出てくる。


待って。まだ出ないで。

まだ華に伝えたい事が……





昨日、白金の優しさに久しぶりに触れて。

手に、唇に触れて。


嬉しかった。幸せだった。



このまま時が止まってしまえばいいとさえ思うほどに。






あの後も白金はずっと私を抱きしめ続けてくれて。

体調が落ち着いたら家まで送り届けてくれた。








「じゃあな、また明日

身体ちゃんと休めろよ」










最後はそんな優しい言葉を残して、

帰っていった。










嬉しかった……嬉しかったよ。




だけど1人になると不安になる。


拒否されたあの時のことを思い出して身体が硬直する。




さっきまでの優しい白金は
夢だったんじゃないのかなって


私が作り出した妄想なんじゃないかって

ベッドに入った後も、目を閉じた後もずっと考えちゃう。



明日会ったらまた冷たい白金に戻っちゃうんじゃないかなって……。


どれだけ考えても意味なんて無いのに。






そのまま、不安な気持ちのまま今日は登校してきた。



登校して教室に入ったら華がいたから、昨日のことを真っ先に聞いて欲しくて今に至る。








「みあ……」







華は話している途中で泣き出した私を苦しそうに見つめている。



ごめん…ちゃんと、ちゃんと話すから。



あのねーーー





華にもう一度話し出そうと思った時に届いたのは








「佐々野みあ」












大好きな人の私の名を呼ぶ声だった。