一瞬だけ触れた私の唇と白金の唇が離れる。

ドキドキしすぎて心臓が爆発しそう。



自分からキスしたくせに身体が震えて白金の顔を見ることができない。







だけど………

どうしても、どうしても伝えたかった。





私がどれだけ白金のことが好きか。

どれだけ恋焦がれているのか。









ーーーー「お前のこと嫌いじゃねえよ」



ーーーー「沢山酷いこと言って悪かった」



ーーーー「俺がお前の傍にいたいんだ」








まるで記憶がある時の白金といるんだと
錯覚するくらいの優しい声であんな事を言われたら


我慢出来なかった。







貴方のことが好きで、好きで、たまらない。



記憶を無くして苦しいのは白金なのに、自分本意で考えてしまう私を許して。




勝手なことしてごめんね……?







私は泣きそうになりながら目の前にいる白金に視線を向ける










「…………っえ、」










目の前にいる白金は顔が真っ赤だった。


照れ臭そうにしている彼はチラッと私の方に目を向けて口を開く










「お前……意外と大胆だな……」










思いがけない言葉に私は目を見開く。





白金……あたしキスしたんだよ?

貴方にキスしたんだよ?



嫌じゃないの?不快じゃないの?

膝の上から突き落とさないの?










「いっ、嫌じゃないの……?」










思わず大きくなってしまう声。

白金は私の言葉に顔を真っ赤にしたまま大きく目を見開いた。









「別に…嫌じゃねえよ……」










その言葉を聞いて身体の力が抜ける。











「………おいっ!」









バランスを崩し倒れそうになる私を白金が受け止めてくれた。




白金…私が病室にいるだけで、近付くだけで
あんなに嫌そうだったのに。


今なんて彼女でもない女にキスされたのに

突き放さないで受け止めてくれている。









ーーーーポタポタッ








一度止まっていた涙がまたこぼれ落ちてきた。