あたしは大きく息を吸う。
……声を出せ。
怖がらずに白金に想いを伝えるんだ。
白金はきっと、きっと、記憶を取り戻してくれる。
精一杯喉に力を入れる
「……し…ろがね……」
自分でもビックリするほどの、小さくて掠れた声。
目の前にいる白金は少し目を見開いた。
「助けてくれて……ありがとう
また…助けられ……ちゃったね…」
あまりにも小さい声で、白金に届いているのか不安になる。
あたしの言葉が聞こえたのか、否か、どちらか分からないけれど白金は下を向いてしまった。
金色の髪の毛が白金の表情を隠してしまう。
「……し…白金……」
拒絶されたのか、あたしと話すのが嫌だったのか、不安で声が震える。
白金………。
「白金……あたしが誰か分かる……?」
答えなんて、分かってるのに。
欲しい答えなんて返ってくるはずがないのに。

