「…………たけ……る……」
廊下に飛び出て、目に入ったのは佐々野みあをお姫様抱っこしている猛の姿。
猛の横には、泣きじゃくっていた女がみあを心配そうに見つめて立っている。
…………何だ。
俺が助けなくても…よかったんじゃねえか…。
何で、俺は何も知らねえ女のためにあんなに急いでたんだ……?
俺は拳を力強く握った。
「涼……お前の女…辛そうだぞ…」
そいつが、俺の女?
「……救急車が来るまで……傍に…いてやれよ」
そう言いながら俺の横に立つ猛。
腕の中には佐々野みあ。
何でか分からねえけど…すげえイライラする。
自分にイライラしてるのか、猛にイライラしてるのか、全然分からねえ。