嘘だと思いたい。




白金はあたしを忘れてないって。

白金はあたしを嫌いになってないって。


そう思いたい。






ードンッ





「……っ!!!」





顔に何かが当たりあたしは反射的に目を閉じた。





「痛ぇな…」





そう低い声が聞こえて目を開くと、ガラの悪そうな短髪の大男がお腹をさすりながら目の前に立っている。



まさか…あたしこの人にぶつかったの!?





「クソ女…謝罪の一言も無ぇのか?」



「あっ…ゴメンなさい!!」



「………」





頭を下げて謝ったあたしに大男は何も言わない。





「…遅ぇ」



「ー………え?」





ーグイッ





大男の低い声が聞こえたと思った瞬間、あたしは息が出来なくなった。