「いーかげん朔をものにしないなら、嫁がせるぞ。」 「……朔が、応じると思うのか?」 「思わないな。だから、」 ―――お前のためとでも言えば、どうだ? こいつは、本当に食えない奴だ。 朔の弱さも強さも知っていて、言っている。 ひとつ、ため息をつくと。 「もう少し、待て。」 それだけ言うとくるり、引き返す。