見紛うはずが無い
世界で一番愛しい
会いたかった人の姿


咄嗟に反応できずにいると
お兄ちゃんは私の目を見て


「せつ・・・ッ」


愛しそうに名前を呼ぶ


「雪…兎…」


無意識に"お兄ちゃん"ではなく
"雪兎"と呼んでいたのにも気がつかない

何を言えばいいのかわからず
立ちすくむ私はついつい逃げ腰になる


いつまでも雪兎から逃げられるわけではないのに
今を逃したらもう二度と会えないかもしれない


今しか、ないんだ


重い口をゆっくりと開く


「あの、ね…」