「でな、オッチャン、先方はどう怒ってんの?」
 「ああ、Jリーグの鹿島カントリーズの試合に、大好きな小野原選手のユニ来て観戦したかったみたいでな、試合後サイン会があって、小野原選手がサインする日だったらしいんだよ。だからどうしてもその日までにユニが欲しかったんだってさ。」
 「小野原?ふ〜ん。」
 「サッカー分かるのか?」
 「知らね」
 「だよな」
海人がサッカーを知ってる訳がなかった。
 「景子、おまえはその少年の喜びを奪ってしまったんだ。となると、その喜びを埋めるだけの何かをしなきゃならないって事だ。」
 「喜びを埋めること…。」
 「お前、そのデッカイパイパイで顔を埋めてやろうとか考えてないだろうな?」
 「か、考える訳ないでしょ」
 「ならいいが…。」
まだ饅頭を食っている海人。
 「ネーチャン、そういう女なのか?」
 「ち、違います」
 「そうか、残念だな。ハハハ」
丸山に笑われ恥ずかしくなった。
 「まぁ今回は俺が何とかしてやるよ。お前の勉強の為にな。」
 「策あんのか?」
 「ねー」
 「」
呆れる丸山だが、海人なら何とかしてくれる事を知っている。どう対処するのか密かに楽しみでもあった。
 「んじゃあなオッチャン。明日一緒にいくべな。おばちゃん、饅頭うまかったよ」
 「20個も食べて良くあきないねぇ…。」
佳代子を呆れさせながら丸山スポーツを後にした。