丸山スポーツに近づくにつれて景子は怖くなってくる。
 「お前、ビビり過ぎなんだよ…。やっちまったもんはしょうがないだろ?だからその後どうするかだけ考えろよ。」
 「どうしていいか分からない…。」
もう見るからに混乱しているのが分かる。
 「まぁ、今回は俺に任せろよ。なんとかなるべ。」
 「ハイ…」
こんな修羅場にどうしてそんな飄々としていられるのかが不思議だった。鼻歌混じりで運転する海人が分からない。
 とうとう丸山スポーツ店に着いた。
 「ほら、いくぞ。」
 「ハイ」
足が震えているのが自分でも分かる。
 「まずお前一人行け。謝って来い。」
 「えっ?」
一緒に行って謝ってくれるもんだと思っていた景子はオドオドする。
 「ほら、行け。」
背中を押されて店に入る。
 「お、おはようございます」
ビクビクしながら中へと進む。景子を見つけた店長の丸山繁が血相を変えて出てきた。
 「あんた、何してくれたんだよっ」
あまりの迫力に体がブルブル震える。