変人

　景子が客に電話をすると、明日の夕方、子供が帰って来てから来てくれとの事だった。どうやらJリーグの試合を、注文したユニホームを着て行くのを楽しみにしていたとの事だった。詳しい話を海人は聞いた。
　｢とりあえず丸山スポーツさんに行くか。｣
　｢はい…。｣
すっかり元気をなくした様子の景子。車に乗りショボンとしている。
　｢いつもすみません…。｣
　｢ん？そうだ、この代償は体で払ってくれんだろ？｣
いつもだったらムキになって怒るとこだ。
　｢いいですよ…。｣
そこまで落ち込むかと思うほどだった。
　｢なに、お前、そんなにへこんでんの？｣
　｢だって…もうどうしていいかわからなくて…。会社辞めようかずっと考えてて…。｣
　｢お前、いちいちそんなんで会社辞めたら、仕事、風俗しかねぇぞ？｣
　｢だ、だって｣
　｢だいたいお前は優秀過ぎるから、失敗する経験をしてないだけなんだよ。みんなこんな失敗、たくさんしてんだよ。逆にさぁ、良かったと思うぞ？｣
さらっと言った。