「なぁ景子、お前が客だったらどう思うんだ?」
 「期日までに欲しかったとの事だから…間に合わなかったら…怒ると思います。」
 「怒るのは当然だけど、どういう対応して貰いたい?」
 「誠心誠意の謝罪が欲しい…。」
 「そうそう。客は何も過去に戻って商品を届けろと言ってる訳じゃないんだ。間に合わなかった事に怒ってるんだろ?本人目の前にして怒りをぶちまければ、少しは怒りもおさまるもんだよ。問題はそれからどうするかだよ。そこからお前の誠心誠意が伝わるかどうかだ。」
 「怒りが収まってから…。」
 「そう。怒りをお前にぶつけた後は、じゃあどうしてくれんのって話だろ?お前がどこまで怒りの代償を払えるかって事さ。」
言っている事は分かるが、どうしていいか分からない。
 「か、体…?」
訳が分からない答えに海人は呆れる。
 「ば、馬鹿かおまえはAVじゃねぇんだよだいたいそんな自信あんのかよ?」
 「な、ないです…それに怒ってる人、奥様だし…」
景子がそんなパニクった答えを言うという事はいよいよ本気で困ってると感じた海人。
 「しゃーねーなぁ、一緒に行ってやるよ。」
肩をポンと叩くと、景子の表情が少し楽になったように思えた。