風呂から上がり、買ってきたばかりのパジャマを着る彩香。
 「しっかりお揃いの買って来てさぁ、けっこう私との生活、楽しみにしてたり?」
 「ち、違うよ。俺もそろそろパジャマ買おうと思ってたから、どうせならって思ったからだよ」
 「ふ〜ん」
サイズ違いのお揃いだった。なんだかんだ言いながら、茶碗とか箸とか歯ブラシとか、ペア物ばかりを買っていた。
 「ホント、新婚さんみたいだね」
そう笑う彩香の笑顔が嬉しかった。
 もともとペア物とか恥ずかしくて絶対無理な性格の海人。しかしあえてペア物を揃えたのは、自分は彩香と生活する事が嫌ではないよ、と言う気持ちを見せたかったからだ。遠慮がちな彩香を少しでも安心させたかった意味がそれには込められている。
 「に、似合うよ」
 「ありがと」
女を誉め慣れていない不器用な男の最高な誉め言葉だった。
 何となくテレビを見てから寝室に入った。