変人

　家に戻った二人。いつも料理は自分で作っていた為、他人が作る料理の味が楽しみだ。夕食の準備をする彩香の周りにまとわりつく海人。
　｢海人は買い物の整理しててよ〜。｣
　｢え〜、手伝うよぉ〜。｣
　｢いいから｣
　｢でも｣
　｢…ぶっちゃけ、邪魔なのっ｣
　｢うっ…｣
ｼｭﾝとしながらﾘﾋﾞﾝｸﾞに戻り買い物の整理を始める。
　すると、今まで感じた事のないような幸せな気分になってきた。
　(なんか…飯を待ってる間に美味そうな匂いを嗅ぎながらって、いいなぁ…。こういうのって、結婚生活なのかな)
女が料理を作り、それを待つ…。今まで想像だにしていなかった事だ。
　(ｴﾌﾟﾛﾝして台所で料理している女に後から…ﾃﾞﾍﾍ)
思わず新婚ﾌﾟﾚｲがしたくなってしまった海人はさりげなく彩香の背後に忍び寄る。
　彩香の尻を触ろうとした瞬間、目の前に包丁が現れた。
　｢大人しく待っててね…？｣
　｢ﾊ､ﾊｲ…。｣
後退りしていく海人。
　｢気が散ると味付け間違えるから｣
一変、満面の笑みで言った。
　｢ですよね…｣
海人は買い物の整理を続けた。