変人

　少しの静寂の後、海人が聞いた。
　｢なぁ、お前だったら、今日会ったばかりの男とできるか？｣
　｢何がですか？｣
取りあえず思い切って聞いてみたが、聞き返されて少し言いずらくなる海人。
　｢だから…アレだよ、あれ…。よ、要するにセックスできるかって事だよ。｣
驚いたような顔を浮かべる。
　｢す、する訳ないじゃないですか私そんなに軽くないですから｣
　｢だ、だよな｣
頭を掻き両手でハンドルを握り運転する。
　｢何でそんな事聞くんですか？｣
彩香の事を言う訳にはいかない。誤魔化す。
　｢い、いや…、そんな女がいたら楽だなー、みたいなあはは…｣
　｢いる訳ないでしょうが、普通。｣
呆れたような顔でため息をつく。
　｢でも…｣
　｢でも？｣
何かを言いかける景子を見る。
　｢もし私が会ったばかりの人とそういう事になる可能性があったとしたら、何か超落ち込んでる時に優しくされたとか、私の為に真剣に考えてくれる時間をとってくれたとか、精神的に救ってくれたり、そういう時ならもしかして抱かれてもいいかなって思うかも…。｣
　｢そうなんだ…。｣
興味深そうに聞いた。