「ねぇ海人?愛をちょうだいとは言わない。私が欲しいのは温もりなの。海人…海人の温もりをちょうだい…」
そう言って腕を強く抱きしめてきた。
 「彩香…。」
自然に唇が重なっていた。次第に絡み合う体。お互い一糸まとわぬ姿になり抱き合う二人。海人が抱きしめた彩香は、すっかり温まっていた。しかし彩香の体に唇を這わせていると、心の冷たさを感じた。冷え切った心を温めてあげたい…海人はいつのまにかそんな気持ちでいっぱいだった。
 「あ…海人…ああんっ」
 「あっ…」
二人同時に頂に達する。それは偶然ではなかった気がした。二人は雲の上で強く抱き合いながらふわふわ浮いているような心地いい時間を過ごした。


 「う、うわぁた、たこだお化けたこだっく、食われる〜」
寝付けずに、いびきをかいていた海人をずっと見つめついた時に、海人の寝言に吹き出してしまった。
 「フフフ、どんな夢見てるんだか」
 彩香も見ず知らずの男についていくのは正直怖かった。セックスを誘うのも相当な勇気があった。しかし少し変な男だが、自分の冷え切った心を優しく温めてくれた海人に安心して眠りについた。