「絶対治るからなぁ、この傷…。」
 真剣に塗り込む海人が可笑しい。
 「傷跡治してくれるって言ったら、普通精神的に癒やしてくれるとかでしょ〜まさか本当に傷跡治そうとするなんて思わなかったよ」
 「あ?お前、甘えてんじゃねぇよ心の傷くらい自分で治せ俺はカウンセラーじゃないんだからな」
 「はいはい、そうでしたね釣りキチさん」
 とか言いながら必死でクリームを塗ってくれる海人が嬉しかった。
 「絶対治るからな〜?このクリームは凄いんだ。こんな傷、なんちゃねーぜ…。」
 一人でブツブツ言いながら一生懸命な海人。
 (この人、変だけどいい人だわ)
 人間的に好きになった。
 塗り込み終えるとまたベッドに入る。
 「毎晩塗ってやっかんな」
 「うん」
 向き合いながら約束する。
 少しの沈黙の後、彩香が言った。
 「ねぇ?」
 「ん?」
 「…しよ?」
 「えっな、何をだよ」
 いきなりの仰天発言に驚く。
 「だから…エッチしよっ…?」
 「な…」
身は固まっていないが、心は固まって焦る。