変人

　そんな彩香の手首の傷に気付く。
　｢どうしたの？これ…。｣
　｢あ…、私ね、何回も人生嫌になってリストカットしてたの。｣
　｢何だ？リストカットって？出川のキレたナイフみたいなもんか？｣
　｢意味分かんないし手首を切って自殺しようとしてたって事よ。｣
　｢な、なんだ…あだ名か何かだと思ったよえ？そんなにたくさん傷あるって事はそんなに死のうと思ったの？｣
　｢うん。昔からいろいろあって何回も生きてるのが嫌になった。その度に手首を切って死のうと思ったの…。｣
　物凄く傷跡を見て悲しそうな顔をする彩香にいたたまれなくなる。
　｢その傷跡、俺が治してやるよ｣
　｢えっ？｣
海人は寝室を出て、何かを持って帰ってきた。
　｢ほら、手首出せ。｣
　｢う、うん｣
　手首を出すと、何やらクリームみたいなものを傷跡に塗り始めた。
　｢これはな、美容クリームなんだけどな、火傷とかニキビ跡とかを治す力を持ってるんだよ。これを塗ってればきっと消えるさ。｣
　海人は一生懸命に塗りこんでいた。