そんな海人を見て口を開く。
 「素性はまだ話したくないけど、きっとその内話すよ…。でもそれ以外の事は何も包み隠さないよって意味…。私が裸になったのは…。」
 「えっ?」
 「海人が釣りに行くって言えばついてくし、エッチしたいって言えばエッチする。何でも言うこと聞くよってアピールよ」
 海人はじーっと彩香の顔を見る。
 「どうして俺なんかにそこまでしてくれるんだ…?」
 今日会ったばかりの男にそこまでつくせる彩香の気持ちが分からない。何かの罠なんじゃないかとさえ思った。
 「私なんかに関わっちゃったお詫びって言うか…。もう人生終わりにしたつもりだったから、これからどうしていいか分からないの。この世に居場所ないし…。だから居場所をくれた海人には本当に感謝してる。あ、居場所をくれたって、殆ど強引に頼んだんだけどねそんな普通無理なお願いを聞いてくれた海人へのお礼なの。別に何も企んでないから、信じて?」
 海人はまだじーっと見ている。
 「信じるか。」
 ニコッと笑う。
 「ありがと」
 「一人より二人の方が楽しいし、な。」
 海人は彩香を疑う事を止めた。こうなった以上、疑っているより信じた方がいい。前向きは海人のモットーだからだ。