海人が風呂から上がると、彩香は食器など洗い物をしていた。
 「何だ、いいのに」
 少し振り返りニコッと笑う。
 「このくらいはしないと。」
 海人はそれらを拭き片づける。
 それからテレビをつけて見ていると、画面を見ながらも他の事を考えているような表情に海人は気付いた。
 「な〜んか、眠くなっちゃったな…。もう寝ようか。」
 「えっ?あ、うん」
 「二階のベッドで寝なよ。俺はここで寝るから。」
 「えっ?邪魔じゃなかったら一緒に寝ようよ…。」
 海人はドキッとする。さすがにうんとは言えない。
 「今日会ったばかりだし、さすがに」
 「お願い…。」
 寂しそうな顔をする彩香。
 「いいのか?」
 「うん。」
 気が引けるが、取り敢えず寝付くまでは一緒に寝て、あとで下に移動しようと二階に行く。階段を上がりながら言う。
 「べ、別にいやらしい事したくて一緒に寝るんじゃないからな?」
 クスッと笑いながら悪戯っぽい笑顔で答えた彩香。
 「私、別にエッチとか一言も言ってないんだけどなぁ?」
 「だ、だよな」
照れくさそうに階段を上がった。