彩香は目を丸くして驚きながら言った。
 「これ…海人の家なの?もちかして…お金持ち??」
 目の前に豪邸がそびえていた。しかもガレージにベンツが停まっている。
 「いやいや、親もサラリーマンだし、俺も普通の会社だし。」
 「もしかして…裏で何かやってるの?ねずみ講とか…」
 「す、するかんな事どうせ言っても信じないって。」
 頭をかく海人。台風が収まりかけたとは言え風はまだ強く肌寒い。
 「と、とにかく中へ入るか。」
 セコムを解除し家の中に入る。リビングに入り彩香はまた驚く。
 「立派な外観の割には…、中…ショボッ」
 どんな豪華な家具やらが並んでいるかと思いきや、質素かつ庶民的なテレビや家具がポツンポツンと置いてある。
 「別にあんまり豪華な必要ないから、実家から持ってきたものばかりなんだよ。」
 壁には魚拓や魚の写真が、豪邸にもったいないくらいに貼ってある。
 「凄いだろこれ全部俺が釣ったんだぜ?」
 「う、うん…(子供かっ)」
 内心呆れる。
 「ねぇ、何でこんな立派な家住んでるの?」
 気になってしょうがない。
 「totoって知ってるかな?」
 「トイレ??」
 「ち、違うよサッカーくじだよ。いつも買ってるんだけど、3ヶ月前に、たまたまtotoとtotobigが当たってさぁ。しかも宝くじまで当たっていきなり10億が手に入っちゃったんだよ」
 「マジ…?」
嘘を言っているようには見えなかった。