変な出会いからさっき会ったばかりなのに、いきなり同棲生活が始まろうとしている事に戸惑いを持ちつつも車を走らせる海人。
 「名前何て言うの?俺は海人。君は?」
 少し考えてから言った。
 「何でもいいよ。」
 「何でもいいって言ったって…」
 困った顔をする。
 「好きに呼んでよ。」
 軽く答える。
 「じゃ、貞子。」
 「な、何で貞子なのよっ」
 腑に落ちない様子だった。
 「何でもいいって言っただろ海に浮かんでたとことか、全身濡れた状態で迫ってくるとことか、貞子としかいいようがなかったから」
 「もっとカワイイ名前ないの〜?だいたいあちこち行って貞子貞子呼ばれたら子供に指指されて貞子貞子言われるでしょ〜?そんなの死んでも嫌っっ」
 「死んでもって…リアルだな、お前が言うとさアハハ」
 笑う海人に頬を膨らます。
 「他にないの〜?」
 「フグちゃん。エビちゃんみたいでカワイイじゃん。」
 「ヤダ。河に豚でしょ?カワイクナイ。」
 「お前、何でもいいって言った割には注文多いな…。」
 「海人が変な名前ばかり言うからでしょ〜?普通に考えてよ。」
 初めて海人と呼ばれて何か少し嬉しくなってしまった。