「私はもう人生終わってたはずなの。だから今から生活しろって言われても困るのよ。あなたが私を釣らなきゃ私は困る必要なかったんだから、あなたは私のこれからの人生を背負う義務があるのよ。」
 「そんな大袈裟な」
どうしていいか分からず困惑する海人。
 「もぅ、ウジウジして〜。そんなだから一匹も釣れないのよ。もしかして下手の横好き?」
 「な・に…?」
眉間に皺が寄る。
 「いつもはたくさん釣れるんだよこんな台風の中でも釣りするチャレンジ精神が大切なんだよいつも釣れ過ぎて困っていろんな人に配ってるくらいだよ。それでも余って困るくらい釣ってんだよ」
 一気にまくし立てる海人。
 「私、魚好きだよ?」
 「えっ?」
 キョトンとする。魚好きという言葉に反応してしまった。
 「魚、好きなのか?」
 「うん。肉より魚好きだよ?美味しいもん。良く食べるわ?」
 「お前、いい奴かもしらねーな。」
 人間の良し悪しは魚基準だ。
 「だから毎日魚でも、むしろウェルカムよ?魚料理は色々できるし、ね」
 「マジかよ〜?」
一気に嬉しそうな顔になる海人。