「ゲホッ…ゴホゴホッッ」
水を吐き出す元死体。
 「よ、良かったぁ死体処理じゃなくて人助けになったよ」
安心した。
 「あ、あれ…?私…生きてる…?」
ゆっくりと目を開けた元死体はか細い声で呟いた。
 「おまえ、こんな海に漂ってたんだぜ?良かったな、助かって。」
 「助かった…?」
 「ああ。釣りをしていた俺の針に偶然かかって助かったんだよ。」
 「生きてるの…?」
 「ああ。今日全然釣れなくて、大物が来たと思ったらお前が釣れたって訳さ?」
 何故か女性の表情が強張る。
 「助けた?あなたが…?」
 「ああ。感謝しろよ…うわっ」
いきなり女性が鬼の形相で海人の胸ぐらを掴んだ。
 「な、何で助けるんだよっ」
ビビる海人。貞子ばりの表情で怒る女性。
 「お、お前、助けてやったんだぞ死ぬとこだったんだぞ」
 「私は死にたかったんだよっあの崖から飛び降りるの、超怖かったんだからねっ思い切って飛んで死のうと思ったのに」
 「はぁ?お前、自殺志願者かよっ」
まさか助けて怒られるとは思わなかった。