「最低!!!」




気が付くと、あたしは先輩に平手打ちをしていた。




冗談でもない本気の平手打ち。




パァンという乾いた音が体育館に響き渡る。




それが合図のように、体育館がシンと静まりかえる。




みんなに注目されているのも、栗原先輩が目を瞠っているのも。




舞が固まった事も、湊先輩が驚いた顔をしている事も、全部分かっているのにー。




「・・・っ」




涙が出そうになってしまって、あたしは走って体育館を出た。




せっかく、バレないように泣いてきたんだから。