「もうすぐ引退か。なんか中学校生活バスケに捧げた感じだな」
蒸し暑く風が吹かない体育館。
夏の体育館はムワムワしてて好きじゃない。
そんな体育館に似合わない先輩の爽やかな声。
先輩の声を聞くと、冷たくてサラサラとした爽やかな風が耳元を通ったような感じがする。
その瞬間があたしは大好きだなんだ。
先輩はほかの3年生とフリースローの練習をしながら話している。
「おー、早いよな。もうすぐ受験じゃんか」
「英語で15点のオマエが行ける高校あんのかよ」
「心配すんな、ここは日本なんだから英語が話せなくても生きてける」
そう自慢げに話すのはバスケ部の中でもっとも低い知能(失礼かもしれないけど)をもつ平川先輩だ。


