「明後日、私の結婚式なんです。」
「そうなんですか。おめでとうございます。」
「ふふ。ありがとう。何ヵ月も前から決まってたのに、昨日急に瑞樹が行けなくなったって言って…」
「え?」
「友達と大切な予定が入っちゃったんですって。結婚式より大切な用事ってなんなのか聞いても答えないし。」
成美は目を伏せる。
「自分で言うのもあれだけど、一生に一度しかない晴れ舞台でしょ?弟にはやっぱり来てもらいたいのよね。」
「そ…うですね。」
「凜太郎くんに聞いてもらえてスッキリしたわ。まだもう少し時間あるし、瑞樹を説得してみようと思う。ごめんね。ありがとう。」
「いえ…」
凜太郎は言葉が出なかった。何故瑞樹が式に出ないといい始めたのか、約束を優先するほどの友人が彼にいるのか、結婚式よりも優先するほどの約束とはなんなのか。
何もわからなかった。


