『ただいまのレース、4組の方が一歩速かったです!4組の勝ち!』

そのアナウンスに沸いた場内。

やった、やったぞ。凜太郎に勝った。

「やったああぁぁあぁあ!」

「すげえじゃん桐生!」

ズッキーが駆け寄ってきて頭をバシバシ叩いてきた。

「いてえよ!」

「あ、ごめん。おめでとう。」

「ありがとう。」

凜太郎に一言くれてやろうと凜太郎の方を見ると、転んだ女子が申し訳なさそうに謝っていた。

「ごめんね、凜太郎くん。私のせいで…」

「いいえ。橋本さん、よく頑張りましたね。お怪我はないですか?」

凜太郎が女子の頭をポンポンしながらそう言うから、女子の目はハートになっている。

それを見ていた観衆たちからも黄色い声が上がっていた。

なんだろうこれ。リレー勝ったはずなのに俺。負けた気分。なんだこれ。複雑。


『2年生のクラス対抗リレー、1組と4組の接戦が非常に盛り上がりましたが、1位は3組でした。おめでとうございました。』

一番複雑だったのは、優勝したはずなのに注目を浴びなかった3組だった。