いよいよ俺らのところにバトンが回ってくる。
1組はなんとか巻き上げて4位になっているが、この距離で1位に返り咲くことは難しいだろう。
絶対勝ってやる。
「桐生くん!」
1組より先にバトンが回ってきた。これはもう、凜太郎に勝ったも同然だ。
バトンのミスもなく、俺はゴール目掛けて走った。
すごい歓声が聞こえる。みんな俺の速さに驚いているのか。そうだよな。俺の走りとかなかなか見れねえもんな。レアだぞ。
その時だった。隣に誰かが並んだ。
「え、」
横目で見ると、凜太郎だった。
凜太郎が俺の隣を走っている。


