「お母さん、花火に集中しましょう。せっかくのお祭りなんですから。」

「ふふ。そうね。」

笑顔で花火を眺めているおばあちゃんの横で、凜太郎が申し訳なさそうに俺を見てきた。

「なあ、凜太郎…」

小声で話しかけると、困ったように人差し指を口の前に当てた。

何も言うなと言うことだろうか。

凜太郎の謎が多すぎてモヤモヤしながらも、花火に意識を向けた。