(佐奈さん…)

あれからどこへ行ってしまったんだろう。

佐奈が泣いていた。

僕はそんな佐奈を追いかける事もできなかった。

(謝ろう。)

ポケットから携帯を取り出し電話をかける。

♪・・・・・・・♪

出ない。

(どうしよう……)

佐奈が電話に出たら、
なんて言えばいいのだろう?

引き止めなくてごめんって言う?

それとも、他の女の子と成り行きであんな事になったって…

言って許してもらう?

…わからない。

僕にはどうすればいいのかわからない。

女の気持ちなんてまるで理解できない。

勉強以外でこんなに頭を悩ませたのは初めてだ。

不安な夜はずっと続いていた。