佐奈は長く暗い闇からはい上がろうと必死になっていた。

(これ以上、みんなに迷惑かける訳にはいかん!)

そして、嫌な事をふっ切るために思い切って家を飛び出した。

― 美容院へ ―

今まで伸ばしていた長い髪をばっさり切る。

これは一つのケジメだ。

(よし、いつまでもクヨクヨしてられへん。)

「バッサリ切ってちょうだい。」

店員が少し戸惑いながら、

「いいの?せっかくここまで伸ばしたのに…」

「いいからっ!」

「それじゃ…」

バサッ!バサッ…!

今までの自分にさよならした瞬間。

新しい風が心に残っていた佐奈の傷を吹き飛ばしてくれたように…

(あ~、何かスッキリしたわ!)

佐奈はイメチェンした新しい姿で【たこ萬】へと歩きだした。