僕は不器用な性格だ。

でも今回はうまくやっている。

塾と【たこ萬】を行ったり来たりしながら家にバレないように頑張っている。

こんなに時間に追われていても全然苦じゃない。

（早く【たこ萬】に行きたいな～。）

気持ちはもう佐奈のいる【たこ萬】に向いていた。

僕の幸せそうな顔を見ながら真理亜は密かに恐ろしい計画を立てていた。

（あの女、立ち直れないようにしてやる。）


真理亜は僕が【たこ萬】に行く日を念入りに調べていた。

・・・・・・・・・

塾の近くにあるゲームセンター。

学校に行かず、遊び回っている若者がタムロする場所。

その場所で真理亜は誰かを探していた。

そして…

「達也、お久しぶり。」

「よぉ、真理亜。
お嬢さまがこんなとこ来るなんて珍しいな。」

真理亜はと達也に向かってびっきりの笑顔を見せた。

「ねえ、いいバイトがあるんだけど…」

遊び人の達也たちにとって真理亜は金まわりの良い遊び仲間だった。

二人はゲームセンターを出て人通りの少ない小さなカフェに入った。

「頼みたい事はね……。」