ある土曜日。

僕は昼食を早めに済ませ、塾に行く前に図書館に寄る事にした。

家を出て考え事をしながら駅へと向かう。

(昨日はパパ、また家に帰って来なかったな。)

父は大阪の大学病院へ来てから頻繁に家を空けるようになった。

それは父が病院内で重要なポストにいるから…

だと思っていた。

(そうだ!一度パパの病院に行ってみよう。
ちょうど図書館から近いし、いい機会だ。)

駅を降りて案内図を見ながら直接病院へと向かった。

小さい頃、病弱だった僕は父が勤める病院によく通っていたものだ。

ひ弱に見えるが病気もしなくなったし、大阪の病院へはまだ一度も行った事がない。

どんな病院なのか考えるだけで胸がワクワクする。

歩いて15分、ようやく病院へたどりついた。

(うわ~、東京の病院の2倍はあるな。
こんな大きい病院の助教授になったんだ。)

そう思うと、今まで以上に父の事を誇りに思う。

(やっぱりパパはすごい人なんだ。)

僕にとって父は憧れの存在。

患者さんを大事にし、人の命を救う偉い人。

父のような立派なお医者さんになりたい。

これが僕の夢……